ミャンマーで発生した地震の影響によりタイで高層ビルが倒壊し、工事を請け負っていた中国国営企業の関係者がタイ当局により逮捕されました。
ミャンマーを震源とした地震により倒壊したタイで建設中の高層ビルを巡り、現地当局は、工事を請け負っていた中国国営企業の関係者を逮捕しました。
【映像】ビル倒壊の瞬間
19日、逮捕されたのは中国の国営企業「中鉄十局」のタイ法人の幹部で、中国国籍の男です。タイ当局は外国人の事業について定めた法律に違反したと発表しました。
「中鉄十局」は、3月に起きた地震の影響で倒壊した、バンコクの高層ビルの建設を請け負っていた企業です。使われていた鉄筋に強度の基準を満たしていないものがあり、タイ当局が捜査していました。他にも3人のタイ人に逮捕状が出ています。
このビルの倒壊でこれまでに47人が死亡し、いまも47人の行方がわかっていません。
https://news.yahoo.co.jp/articles/407f8fb65c40a02f22bc5c0610d889304295c374
海外建設プロジェクトに潜むリスクと責任
国際的なインフラ整備において、中国の国営企業は近年、積極的に進出を続けてきました。
特に東南アジアでは、中国の「一帯一路」構想に基づく大型プロジェクトが数多く進行しており、経済的な結びつきが強まる一方で、建設品質や安全性への懸念も広がっています。
今回のようなビル倒壊事故は、単なる自然災害にとどまらず、設計・施工の不備や資材の不適正使用など、人為的な要因も絡んでいます。
過去にも中国企業が関与する海外建設で、安全基準を軽視したことで重大事故に至ったケースが報告されています。
さらに、多国籍プロジェクトでは、現地法令や労働安全規定の遵守が求められるものの、これらが軽視された場合、現地政府との摩擦を生み、企業の信用失墜や経済的損失に直結します。
特に、タイは地震の頻度が比較的低い国とされており、耐震性への意識が十分でなかった可能性もありますが、それを補うべきは施工業者の責任です。
国際社会において、建設業者の透明性と説明責任がより一層問われる時代となっており、今回の事件もその象徴といえるでしょう。