れいわ・八幡議員「私の父はギャンブル依存!年金運用も同じ!健全ではない!」→ 厚労相「これまでの収益は約164.3兆円」
れいわ新選組の八幡愛衆院議員が、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産運用を「ギャンブル」と批判し、自身の父親のギャンブル依存症の経験を引き合いに出した発言が、SNS上で多くの批判を受けています。
ざっくりPOINT
八幡議員の年金運用批判が物議
GPIFの運用実績は約164兆円の収益
感情的な発言にSNSで批判の声多数
れいわ新選組の八幡愛衆院議員は23日の衆院厚生労働委員会で、公的年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を巡り、自らが父親のギャンブル依存に苦しんだ過去を語り、運用の在り方を批判した。福岡資麿厚生労働相はリスクを抑えて運用していると説明した。
八幡氏はGPIFについて「国民が懐を痛めて捻出した年金保険料を、株の投資でばくちをしているということだ。やっていることは積み立て金の流用だ。投資対象は国内企業だけにするなど、見直すべきだ」と指摘。
さらに「私、父親がギャンブル依存で、大変な家庭で育った。お金がないからと私たちの食費を削ったり、文房具も満足に買えないような状態が続いた。それなのに給料を全額パチンコ代にベットできる。『お父さんが勝ったら、あなたたちにおもちゃでも買ってあげるから』と言われるが、そんな考え方が健全でないことは誰でも分かる。同じことを政府はやっていると私は思う」と話した。
資産運用をギャンブルに例える質問に福岡氏は「GPIFはリスクを抑えながら安定的な運用成果を目指している。2001年度の自主運用開始から24年度第3四半期までの累積収益額は約164・3兆円となっており、年金財政にプラスの影響を与えている。引き続き、資産や地域などの分散投資を行いながら、適切にリスクを管理することによって、長期的な観点から安全かつ効率的に運用を行うことが重要だ」と説明した。
八幡氏は「言ってることがうちのお父さんと一緒だ。リスクを考えてパチンコは大丈夫だと、競馬や競輪に手を出してないと説明していた」と食い下がり、さらに、GPIFが非人道的兵器「クラスター弾」の製造企業3社の株式を保有していたことなどを批判した。
https://www.sankei.com/article/20250526-IMOQXBRE7RHH7E4E7IGXZF6CIQ/
公的年金運用と資産形成の現実
公的年金の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、国民の老後の生活を支えるため、長期的・安定的な収益を目指して投資活動を行っています。
資産運用と聞くと「リスクが高い」という印象を持つ人も少なくありませんが、GPIFは複数の資産に分散投資することで市場の変動に備える体制を整えています。
世界の年金ファンドの中でも透明性や規模の面で高く評価されており、ノルウェーやカナダの年金基金と並んで安定運用のモデルとされています。
近年はESG投資にも注力し、倫理的観点からの運用も進んでいます。
年金制度が少子高齢化の中で持続可能であるためには、積立金の保全だけでなく、適切な運用による資産増加が不可欠です。
感情よりも実務に基づいた議論を
年金制度は多くの国民にとって生活の土台であり、その運用方法については慎重な議論が必要です。
ただし、感情的な例えや個人の経験に基づいた主張では、政策論争が建設的にならず、誤解を招く恐れもあります。
政策を担う議員が制度を批判する際には、透明性や説明責任を前提に、客観的なデータや制度比較をもとに議論する姿勢が求められます。
特に年金という極めて専門的な分野では、一般国民の不安を煽るよりも、制度の理解を深める努力が政治家に求められるでしょう。
議論を通じて問題点を洗い出し、制度の改善に繋げるためにも、実務に即した冷静な発言と説明が今後の課題です。